◎戦後の日本の全国市町村別標準化死亡比をみると、肝硬変や肝ガンによる死亡率に大きな地域差があることがわかります。そこで全国のアルコール消費量を種類別に比較照合してみたところ、東北地方を中心とする東日本、つまり日本酒をよく飲む人たちの死亡率が非常に低いことがわかりました。つぎに、ヒトのガン細胞に日本酒の濃縮液を添加する実験を行ったところ、ガン細胞の増殖が著しく抑制されました。こうした結果は、ウイスキーやブランデーでは認められないもので、そこから日本酒に含まれる何らかの成分がガン細胞増殖抑制作用を持つのではないかと考えたのです。
◎戦後ずっと肝硬変、肝ガン死亡が東低西高の地域差を示しているという事象は、私たちの実験結果が裏付けているといえるかもしれません。日本酒のどの成分が制ガン作用を持つのかの特定が今後の課題として残されてはいますが、日本酒の効果は、事実として知ってほしいと思います。
滝沢行雄 医学博士
国立水俣病総合研究センター所長
秋田大学名誉教授
国際疫学学会
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