日本酒のアルコール度数は高い。
酒売り場でラベルを見てみると15%くらいの商品が多いでしょうか。
世界の醸造酒をみると、ビールが5%、ワインが10〜12%、日本酒が15%と、
日本酒のアルコール度数が高いことが分かります。
日本酒の発酵技術がすごい!ということにもなるのですが
このアルコール度数の高さが、
これからの日本酒業界のひとつの問題点になるのではないかと感じています。
高アルコールであるがゆえの飲みづらさ。
日本酒を飲み慣れていない方には特にでしょう。
日本酒離れの原因のひとつにも思えます。
食事との相性にも問題があるのではないかと思います。
アルコール感が強いと食事を止めてしまう、ということがあります。
食中酒である日本酒にとって、
食事との相性という点は非常に大きな要素です。
外食でも食卓でも、純和食ということは少なくなってきました。
世界の様々な食事との相性が良く、
日本酒の敷居をさげ、飲み慣れていない方でも飲める。
日本酒のあたらしい可能性として
低アルコールの日本酒を造る必要があるのではないか?
との思いから、研究醸造Data13 低アルコールの計画はスタートしました。
低アルコールといっても、
ただアルコール度数を低くするだけだったらすぐにつくれます。
加水して瓶詰めすればいいのです。
日本酒には割水(わりみず)という工程があります。
アルコール度数が18%〜20%ある原酒を目標の度数まで加水するのです。
これが割水です。
大量の割水をすれば、アルコール度数は低くなります。
簡単に低アルコールの日本酒になります。
しかし、これだと大きな問題があります。
アルコールと一緒に、旨さの成分も一緒に薄くなってしまい、
ただ水っぽいだけの日本酒になってしまうのです。
現在、土田酒造で醸造している日本酒は
地元で出している誉国光の白ラベルと金ラベル以外は
すべて、割水していない原酒で出荷しています。
Tsuchida12という、アルコール度数12%の原酒で
アルコール低めでも飲みごたえがあるという弊社商品がありますが、
今回はさらに低いアルコール度数10%を目指しました。
もちろん割水しない原酒です。
アルコール度数が低くても、薄く感じない酒にするために
・酵母無添加。低温で活動を止める野生酵母の性質を利用する。
・麹歩合40%。麹を増やし甘みと旨味を補う。
・製麹時間41時間。長めに製麹時間をとり、米を溶かす酵素の量を確保する。
・白麹を一部使用し、飲みごたえのある酸味を狙う。
このような設計をしました。
精米歩合は90%の飯米。無添加生酛純米の土田スペックです。
結果、アルコール度数は予定よりややオーバーし
12%となってしまいましたが
味わいについては狙い通りにいったのでは無いかと思います。
醸造過程の研究結果については、YOUTUBE動画で解説しておりますので
ぜひご視聴ください。https://youtu.be/7ffgr3nr2fc
研究醸造Data13、ひとことで言うと
『かるっ、旨っ!』
スーッと喉を通過し、後味に旨みがふわっと広がります。
酸味が心地よく、アルコールの嫌味も感じない。
キリッと冷やして夏酒としても最高。
年間通してもあらゆる食事との食中酒として
可能性を感じざるを得ません。
日本酒の敷居を下げ、
より多くの方に食事と日本酒を楽しんで頂きたい。
その思いから始まった研究醸造Data13。
さらにアルコール度数を抑え
さらに旨味をたっぷりに
土田流 低アルコール日本酒への挑戦はまだまだ続きます。
著:小澤卓也 (Instagram @ozawa0278)
群馬県沼田市出身。伝統的なものづくりに憧れ、1999年土田酒造に。
酒造り、瓶詰めの製造部門から始まり販売部門である事業部を経て、現在はセールスプロモーションの責任者として、デジタルマーケティング、広報PR、各種SNS運用、ブランディングなど勉強中。
動画撮影/編集、グラフィックデザインなど、クリエイターとしての活動もちらほらと。