著:土田酒造 小澤
”すぐ飲んで美味しいしぼりたて”
令和2酒造年度 はつしぼりの醸造コンセプトです。
新酒しぼりたてのお酒のイメージといえば
『フレッシュ感』
今年のはつしぼりは
旬のフレッシュ感、”すぐ飲んで美味しい”をとことん突き詰めて
挑戦した一本となりました。
では、どんな挑戦をしたのかといいますと
①協会酵母の純粋培養
②超低温発酵で米を溶かす
③モロミでの櫂入れ(混ぜる工程)なし
主にこの3つ。
ひとつずつ杜氏に説明して頂きました。
【協会酵母の純粋培養】
あくまでも土田酒造の酒造りの場合ですが、
酵母無添加の仕込みで造った酒は(シン・ツチダなど)熟成させたほうが美味しくなる傾向があります。
逆に酵母を添加する仕込みはフレッシュ感を楽しむお酒に向いているという感覚があります。
全国新酒鑑評会などの大きなコンテストでは、ほぼすべての出品酒が酵母添加型です。私達の出品酒もそうです。
今年のはつしぼりの『スグ飲んで美味しい酒』というコンセプトには
酵母添加型の仕込みが向いているという判断をしました。
協会701号酵母がつくり出す、落ち着いた香りと新酒らしい新鮮な風味をお楽しみ頂けたら幸いです。
【超低温発酵で米を溶かす】
はつしぼりの条件として『精米歩合90%の飯米で造る』という前提がありました。
90%精米の場合、モロミの品温が高くなると香りが立ちすぎてクドい酒になりやすいという傾向があります。
また、酵母の働きが活発になりすぎてしまい、発酵が進み甘みを残すのが難しくなるということもありました。
香りのクドさと酵母の働きを適度に抑えるために『超低温発酵』の経過をとることにしました。
品温4~5℃の超低温発酵を実現するためには、野生酵母の混入がない完璧な酒母をつくる必要があります。
野生酵母が入ると発酵経過のコントロールが難しくなってしまいます。
蔵にどんな菌がいるかわからない一本目の仕込み、油断するとすぐに野生酵母が入っていてしまう可能性があるという状況。
その中で求めた完璧な酒母。酒母を担当した頭役の渡邉君はさぞ胃が痛かったことでしょう(笑。
もうひとつ『米を溶かして味を出す』という目標がありました。
超低温発酵のため、通常では米は溶けにくくなります。
米が溶けないということは、味がうすくなってしまうということ。
超低温ながら米を溶かすために、麹歩合を高く設定しました。
【モロミの櫂入れなし】
通常の仕込みでは、仕込んだモロミを撹拌するために、朝と夕方に櫂入れをします。
ですが、今回のはつしぼりのモロミでは、”櫂入れを一回もしない”という製法で臨みます。
”リンゴ酸””を狙って出すためです。
リンゴ酸は、冷やして飲むときに感じる、爽やかな味わいの酸です。
このリンゴ酸は、酸素がない状況で酵母を培養すると多く生成されるという文献を見つけ、
今回のはつしぼりの仕込みでは、仕込み以降の櫂入れを禁止しました。タンクの蓋も閉めたままです。
この3つの説明を聞いて、どんなお酒なのか
とてもワクワクしますよね。
そして12月4日。上槽(しぼり)となりました!
蔵人一同揃って、はつしぼりの瞬間に立ち会いました。
感動の瞬間でした。
出来上がったお酒の味については
あえてここでは書きません。
はつしぼりを 初めてきき酒した時の感動を
皆さまにも同じように体験して頂きたいからです。
よろしければ、仕込みの様子をYOUTUBEで公開していますので
ぜひご覧になってから、ご賞味いただければと思います。
YOUTUBEはこちらから→https://www.youtube.com/playlist?list=PLy7U1AbIsD340XpJUNWZtAKca_KrP-lCX
”しぼりたて”とはなんなのかを突き詰めて
”すぐ飲んで美味しい”に挑戦した
旬の酒『はつしぼり』。
杜氏、蔵人にとっても特別な仕込みになりました。
年末年始のお供に、はつしぼりを並べて頂けたら幸いです。
お買い求めは全国の土田取り扱い酒販店さまへ。
お近くにない場合は土田酒造オンラインショップをご利用下さい。
オンラインショップはこちらから→https://cart.homare.biz/i/S0061
土田 はつしぼり 一 (いち)
原料米:群馬県産 食用米 (あさひの夢 使用割合100%)
精米歩合:90%
使用種麹:焼酎用黄麹
使用酵母:協会701号
酒母製法:生酛
アルコール度数:14%
グルコース:3.45
日本酒度:-15.91
酸度:2.17
アミノ酸度:2.36
火入れ:1回
保管方法:要冷蔵