お酒について

研究醸造 Data12 米を溶かす

2021年7月19日

 

最初に言ってしまいますが

”米を溶かす”という研究は失敗しました。

 

ただ、うまい酒ができました。

 

 

 

『溶けづらい低精白米を極力溶かし、

米の味が出ている旨い酒にすることができるか』

 

研究醸造Data12の研究テーマです。

 

蒸した米を麹の酵素で溶かし(糖化)

それを酵母が代謝しアルコールが生成(発酵)されます。

日本酒のつくり方をとても簡単にいうとこうなります。

 

近年の酒造りでは、

高精白米を使い、あまり溶かさず酒にすることが主流になっています。

雑味の少ないきれいな酒を造るための選択です。

 

わたしたちはこのような造りに少々違和感を感じていました。

 

『日本酒は米の酒と言いながら、米を半分以上削り半分しか溶かさず酒にしない。

米の酒と言うならば、なるべく精米せずできるかぎり米を溶かした酒にしたい。』

 

このような思いから、低精白米をもっと溶かせるようにしよう。と

今回の研究醸造 Data12の計画が始まりました。

 

研究醸造 Data12では、

米を溶かし粕歩合10%台の旨い酒を目指しました。

 

粕歩合とは、原料に使った米に対する酒粕の割合で

米を100kg使って酒粕が30kg出れば粕歩合は30%となります。

 

一般的には25%から30%が多く、

大吟醸にもなると40%〜50%超といったものあります。

 

土田酒造の場合、令和2BYのシン・ツチダが25%くらいです。

 

目標 粕歩合10%台。

しかも溶けづらい低精白米、精米歩合90%での挑戦です。

 

結果、米を溶かすというテーマから見た研究醸造は失敗に終わりました。

狙い通りに米を溶かし切ることが出来なかったのです。

 

アルコール度数が予想以上に早くでてしまい

品温を上げることができず、溶かしきる前に搾ることを判断しました。

 

米は溶かしたいが、一番に優先するのは

出来上がりの酒の味わい。

 

粕歩合は最終的に39%と、目標値を大幅に上回ってしまいました。

 

研究結果についてのより詳しい解説は、YOUTUBE動画にて公開しています。

ぜひご視聴いただき、わたしたちの思いを感じていただければ幸いです。

(視聴はコチラから) https://youtu.be/BLKn3249nm0

 

 

生産者さんたちが、手間と愛情をたくさんかけて育てた米。

その米で私たちは酒を造っています。

 

食べて美味しい食用の米を、

できるだけ削らず、できるだけ酒にする。

 

その酒を飲んだ米の生産者の方が

『俺の米が、こんな旨い酒になった!』と喜んでいただけたら

こんなにうれしいことはありません。

 

今回の研究はうまくいきませんでしたが、

また次の造りからも、『米を溶かした旨い酒造り』への挑戦は続きます。

 

(失敗失敗といっていますが、できたお酒はとても美味しいです。)

 

 

 

 

著:小澤卓也  (Instagram @ozawa0278)
群馬県沼田市出身。伝統的なものづくりに憧れ、1999年土田酒造に。
酒造り、瓶詰めの製造部門から始まり販売部門である事業部を経て、現在はセールスプロモーションの責任者として、
デジタルマーケティング、広報PR、各種SNS運用、ブランディングなど勉強中。
動画撮影/編集、グラフィックデザインなど、クリエイターとしての活動もちらほらと。

 

 

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