お酒について

酒米はもう要らない!? 日本酒の可能性が広がる『世界の米』での酒造り  土田酒造 研究醸造Data14

2021年8月16日

 

 

 

世界の米には大きく分けて

ジャポニカ米、ジャバニカ米、インディカ米の三種類があります。

 

普段日本で食用に使われているお米がジャポニカ米。

短く円形に近い形状と、炊くと粘りとツヤが出るのが特徴です。

 

一番生産量が少ないのがジャバニカ米です。幅が広く大粒な形状で、あっさりした

粘りのある味が特徴です。

 

インディカ米は世界で生産量が一番多く、細長い形状で炊くとパサパサとしてカレーやピラフなどによく合うお米です。日本では”タイ米”という呼び方が有名ですね。

 

さらに細かい品種ごとに分けると、約10万種ものお米があります。

お米の形によって長粒種・中粒種・短粒種として分類しますが、日本で栽培されているお米のほとんどは短粒種のジャポニカ米です。

 

『酒米』もジャポニカ米に分類されます。

 

 

『香り米 プリンセスサリーとの出会い』

今回の研究醸造 Data14では、プリンセスサリーという米を原料に日本酒造りを行いました。

 

プリンセスサリー米は、南アジアで最高級米と言われているインディカ米『バスマティ』を、日本で栽培できるように改良した品種です。炊くと茹でた枝豆やポップコーンのような独特な香りがすることから、『香り米』とも呼ばれています。

精米したプリンセスサリー

 

ジャポニカ米とインディカ米の中間の中長粒米であり、独特な香りを持つプリンセスサリー米。

香り米とも呼ばれるこの米の香りを日本酒に出すことができるのか?

研究醸造 Data14の研究テーマが決まりました。

 

そもそもなぜプリンセスサリー米で日本酒を造ることになったのか。

それは、とある米農家さんとの出会いからでした。

 

令和一年の造りから、当蔵で造るすべての日本酒を無添加の生酛造りに切り替えました。

ひとつの大きなステップを踏みましたが、次に見据えていたのが『自社田での米作り』でした。

 

『自分たちで育てた米で、酒造りをしたい。』

 

とてつもなく大きな目標でなかなか実行までいかない中

とにかくできることはやっておこうと

知人から紹介された米農家さんのところに田植えのお手伝いに行くことにしました。

 

その米農家さんが、山口さん。群馬県藤岡市で

有機栽培で米や野菜を生産している方です。

 

田植え作業の合間、お昼ごはんに出して頂いたのが

プリンセスサリーだったのです。

 

『なにこの香り!』

 

『普通のおかずでも美味しいんだけど、エスニックとの相性が抜群』

 

『うまい!何杯でも食べられる』

 

そして、

『このお米、日本酒にしたらどうなるんだろう?』

日本酒の造り手としては、こうなりますね。

 

こうなったらもう止まりません。

すぐに酒造りに必要な米の量を交渉していました(笑。

プリンセスサリーの稲穂

 

 

『プリンセスサリーでの酒造り』

2021年3月。プリンセスサリーでの酒造りが始まりました。

 

精米歩合88%の低精白、酵母無添加の生酛造りです。

 

その衝撃は最初の蒸米の時に訪れました。

 

蒸米の湯気にのって、蔵の中、周辺がポップコーンのような香りでいっぱいになったのです。

 

これだけの香りなら、搾った酒にも香りが残るのではないか!?

 

期待が膨らみます。

 

しかし、出来上がったお酒に

”あの香り”はありませんでした。

 

若干穀物っぽい香りも感じますが、”あの香り”ではありません。

 

発酵が進むにつれ、香りはどんどん消えていったのです。

 

あれだけ強く独特な香りが、糖化と発酵の過程で代謝されたのか、はたまた揮発してしまったのか定かではありませんが、ほぼ無くなってしまったのです。まだ原因を追求できていませんが、次の造りでは香りを残せるように研究を続けたいと思います。

 

醸造過程や結果については、YOUTUBE動画にて杜氏が解説しております。

少々マニアックなお話ですが、ぜひご視聴頂ければと思います。

 

 

『プリンセスサリーの日本酒   完成』

 

できたお酒を試飲させて頂きました。

 

濃厚で複雑味のある味わい。旨い。

甘くて酸味もあるのですが、クドさはなくどんどん飲める。

 

有機栽培で育てた米の良さが出たのではないかと推測できます。

 

わりとどんな食事にも合わせやすそうですが、

やはりインディカ米に由来するお米ですから

エスニックな料理とあわせてみたくなってしまいます。

 

本格的なエスニック料理ではなくても市販のタイカレーがお手軽ですね。

 

南アジアに思いを馳せて、エスニック料理との一杯をお楽しみください。

 

 

 

『世界の米で日本酒が造れる!?』

さて、プリンセスサリー米での日本酒造り。

香りはうまく残りませんでしたが、大きな可能性を感じることができた造りとなりました。

 

それは、酒米でも日本のジャポニカ米でもない、世界の米で酒造りができるのではないかという可能性です。

長粒種であるインディカ米に近い、中長粒米での酒造りの成功は

世界の様々な米で日本酒が造れることを実証できたのではないかと思います。

 

日本酒づくりで一般的に使われている酒米。

酒米のメリットは、目指す酒質の酒が ”つくりやすい”ことだと我々は思います。

その反面、米から由来する酒の個性は少なくなってしまうのではないかと感じています。

 

現在酒米として登録されている米は120種類ほどあるそうです。

その中でも主に使用されている酒米は数えるほどになります。

 

一方、世界の米の品種は10万種以上。

世界各地の米の原料特性を表現した多様な味わいの日本酒が造れるのです。

 

それを私たちが造るかは別として、世界の各国でその土地の米と水を使い、自然の菌を活用する生酛造りであれば、その国々の地酒が造れるってわけです。

 

これはもう夢がありすぎるのではないでしょうか!

 

日本で地ワインや地ビールが造られるように

世界各国で”地SAKE”が造られるようになったら日本酒の未来は相当面白くなりそうですね。

 

世界の”地SAKE”で乾杯する日を夢見て、研究醸造 Data14で乾杯!ですね。

 

 

 

【WAKAZE三軒茶屋醸造所とのコラボ醸造】

同じ低精白のプリンセスサリー米を原料に、

WAKAZEさんがどぶろく、土田酒造は日本酒で醸造しました。

 

何かと縁の深いWAKAZEさんと土田酒造。

WAKAZE杜氏の戸田氏が土田酒造で製麹し、

技術交流をおこない、今回のコラボ醸造が実現しました。

 

個性が強い酒を生み出す両者。

今回のコラボ醸造は2本の飲み比べがとてもおもしろそうです!

 

 

8月20日販売開始

取り扱い店様情報を公開しました!

※表示の見方

土田酒造の「研究醸造DATA14」取扱店さま=★

WAKAZEの「三軒茶屋のどぶろくプリンセスサリー」取扱店さま=☆

※店舗ごとの在庫状況および販売開始日時につきましては、取扱店さまに直接お問合せくださいませ

【北海道】

・裕多加 ★☆

・YUTAKA★☆

 

【山形県】

・LaJomon ★☆

 

【秋田県】

・アキモト酒店 ★☆

 

【栃木県】

・増田屋★

 

【群馬県】

・高橋与商店 ★☆

・あいば酒店★

 

【埼玉県】

・たつみ清酒堂本店★☆

・沢屋酒店★☆

 

【千葉県】

・IMADEYA 千葉本店★☆

・IMADEYA 千葉エキナカ★☆

 

【東京都】

・IMADEYA GINZA★☆

・IMADEYA SUMIDA★☆

・発酵デパートメント★☆

・未来酒店FUTAKOTAMAGAWA★☆

・勝鬨酒販 ★☆

・たつみ清酒堂東京★☆

 

【神奈川県】

・未来酒店YOKOHAMA★☆

・酒のnitto★☆

 

【愛知県】

・酒泉洞堀一★☆

 

【徳島県】

・酒ハウスモリモト★

 

両商品は各蔵のオンラインショップでも購入可能です。

お近くにお取り扱い酒販店様がない場合はご利用ください。

 

 ■WAKAZE  三軒茶屋のどぶろく プリンセスサリー

WAKAZE公式オンラインストア

https://www.wakaze-store.com/collections

*8月20日 18:30〜販売開始

 

■土田酒造  香り米プリンセスサリー  研究醸造Data14

土田酒造公式オンラインショップ

https://cart.homare.biz/

*8月20日 18:30〜販売開始

 

 

 

 

 

 

著:小澤卓也  (Instagram @ozawa0278)
群馬県沼田市出身。伝統的なものづくりに憧れ、1999年土田酒造に。
酒造り、瓶詰めの製造部門から始まり販売部門である事業部を経て、現在はセールスプロモーションの責任者として、デジタルマーケティング、広報PR、各種SNS運用、ブランディングなど勉強中。
動画撮影/編集、グラフィックデザインなど、クリエイターとしての活動もちらほらと。

 

 

 

 

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